第三章 メラル

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左手の警棒を横に薙ぐと、クリーチャーは急上昇して回避した。 実はクリーチャーが回避行動を取るというのは非常に珍しいことだったりする。 天然の鎧に守られている奴等はその必要に迫られることがないからだ。 だがさすがに先ほどの電気ショックは堪えたのか、明らかにこのクリーチャーは警戒していた。 上空へと飛翔していくクリーチャーに向けて咲は警棒を思いっきり投擲する。 鋭い風切り音に混じって空間を切り裂いていく一筋の線。 寸分たがわず背中に命中した警棒は激しいスパークを放つ。 最大出力による放電は感電死させてもおかしくない電力量だったはずだが、ギャッという短い悲鳴を漏らしただけでクリーチャーは生きていた。 頭を切り飛ばしただけでは足りない。 心臓を突き殺しただけでも足りない。 高圧電流を流しただけでも足りない。 クリーチャーを殺すならとことん徹底的に。 理想は灰も骨も残らぬよう跡形もなく燃やし尽くしてしまうに限る。 咲は突っ込んでくるクリーチャーを上段に炎刑を構えながら待ち受けていた。 繰り出される爪と振り下ろされる刃が交錯する。
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