第三章 メラル

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一瞬早く炎刑がクリーチャーを切り裂く。 錐揉み状に回転してしたたか全身を強打したクリーチャーはしかしすぐに立ち上がっていた。 斬られたという感触はあったのだろう。 しかし一滴の血も流れない。 斬られたクリーチャー自身どこか戸惑っているようにも見える。 通じないとは知りつつ自然と咲の視線と口調は冷たいものへと変化していた。 「盛大に鳴き喚け。そいつは貴様が殺してきた者達への鎮魂歌となるのだからな」 次の瞬間、咲が投擲した炎刑がクリーチャーの胸を深々と貫いていた。 それが引き金となり、目や鼻や耳、それこそ毛穴からも炎が噴き出す。 『キアアアアア!?』 クリーチャーはなまじ生命力が高いばかりに簡単には死ねない。 体の内側にある臓器から焼き尽くされ、やがて死に至るまで、強い個体であればあるほど長く苦しむ。 故に、死んで尚灰燼に帰すまで咲は刺した刃を抜かない。 八つ当たりだと言われればそうだと答える。 憎しみを具現化したようなクリーチャーを包む炎を見ている間だけは生を実感することができるからだ。 これが咲の戦い方。
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