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さっきまでの喧騒が嘘のように静まり返ったクリーチャーの亡骸の前で優斗の声だけが響いていた。
「やっぱりまだ憎んでるんだな」
「当たり前だ。私の復讐は全てのクリーチャーを駆逐するまで終わらない」
「復讐なんかしたって無駄だよ」
「無駄?何が無駄なものか!?私はーー」
「そんなことをしても咲姉が失ったものは絶対に取り戻せない!!」
「くっ、優斗に何が分かる!?何一つ失ったことさえないくせに!!」
分かるよ、と力なく笑う優斗の瞳を濡らす滴に思わず咲は言葉を詰まらる。
小さい頃から優斗は全然泣かない子供だった。
少なくとも咲が知る限り人前で涙を見せたことはなかったはずだ。
大切にしていた玩具を壊してしまった時、運動会で派手にずっこけた時、上級生と喧嘩して負けて帰ってきた時……咲が新東京を出ていった時。
頭に上っていた血がスッと冷めていく。
「だって、俺は咲姉とこうしてまた喋れる日がくると思ってなかったんだ」
「……勝手に私を殺すな」
態度とは裏腹に咲の言葉に刺々しさは含まれていなかった。
「うん。ごめん」
「……私も、悪かった」
小さく呟かれた謝罪の言葉は二人の間に出来てしまった溝を少しだけ埋めたような気がした。
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