第三章 メラル

44/72

503人が本棚に入れています
本棚に追加
/318ページ
5 「今日みたいなことはよくあるのですか?」 意外にも口火を切ったのはライラだった。 彼女なりに気を使ってずっとタイミングを窺っていたのだろう。 それに対して咲は新しく煙草に火を点けながら答える。 「いや、さすがに三体同時というのは初めてだな。そもそも隔壁が大破しているとはいえ最低限のバリケードは築いているし、クリーチャーの侵入頻度で言えばせいぜい三日に一回程度だ……何か気になる点でもあるのか?」 「クリーチャーが時間差で一日に三体侵入してきたというのならまだ分かります。偶然と言ってしまえばそれまででしょう。問題はその侵入してきたクリーチャーの方です。私が倒したクリーチャーはキュクロープスというキメラの上位種にカテゴリーされている大型巨人でした」 「それってミノタウロスと同格クラスだろ!?お前よく一人で倒せたな!」 ライラからジロリと睨まれ優斗は直ぐに口を閉じた。 話の腰をおるなと目線だけで訴えられている。 ゴホンッと一つ咳払いしてライラは続けた。 「クリーチャーを倒した後、私はまずクリーチャーの侵入経路を辿ってみました」
/318ページ

最初のコメントを投稿しよう!

503人が本棚に入れています
本棚に追加