第三章 メラル

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「ありませんであります!!あっ、そういえば俺が倒した奴も変っていえば少し変だったかも。ベースが水棲生物っていうか……まぁ呼吸も問題なかったし、普通に二足歩行してたから陸上にも適応はしているんだろうけど、わざわざ水辺から離れるとは考えにくいな」 極寒の視線から逃れる為の話題転換ではあったが、話していく内に優斗の顔つきも真剣なものへと変わっていく。 そう、考えてみれば此度の襲来には不可解な点が多すぎた。 「私はその辺には疎いのだが、クリーチャーとは組織だった連携を取るものなのか?」 「稀にでありますがそういうケースも報告されています。とは言ってもそれは似通った遺伝子を有する近似体が群れをなしてのものです。今回のようにバラバラの個体が共闘したという事例は聞いたことがありません」 優斗の中で新たな疑問が芽生えたのはまさにその時だった。 新東京。 クリーチャーの大群。 激しい戦闘の音。 人間と血の匂い。 バラバラだったピースが一つのパズルとなって疑問を明確にしていく。 様々な要因が複雑に絡まりあったとして、果たして大地を埋め尽くすほどのクリーチャーが新東京へ"偶然"ああも殺到するものだろうかと。
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