第三章 メラル

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すると何かを察したのか不自然にライラが少しだけ声を張り上げて言う。 「とにかく!私が言いたいのはただの偶然で片付けるべきではないということです」 「しかし……だとするとクリーチャーは誰かの指示を受けていた可能性があると言うのか?それは現実的に考えにくいだろう」 「いえ、『アリス』ならそれが可能です」 その名前だけが一人歩きした、いつ、誰が、何故、そう名付けたのかも分からないクリーチャーの創造主、それがアリスだ。 いるかすら定かではない存在をライラは信じて疑わないような口調で言い切ったライラはたたみかけるように続けた。 「クリーチャーが寿命に縛られていないことは長年の研究で判明しています。奴等は人間を捕食することもありますが、それは空腹を満たす為ではなく本能的な殺戮衝動の結果でしかありません。体の中で必要な栄養分を生成できてしまうクリーチャーは餓死することもない」 「それは……事実なのか?」 信じられないといった様子の咲から優斗は思わず目を背けていた。 アリスはともかく、クリーチャーは殺さない限り死なないという真実は一般人に伏せられている。
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