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「いつも通り完璧な答えだ高坂君。そして君のおかげで影宮君の寿命は少しだけ伸びることになった。追いつける可能性は限りなく低いが確かめない訳にもいかないからな」
保坂は皮肉混じりにそんな捨て台詞を残して堂々と背中を向けた。
はっきり言えば隙だらけで、斬りかかって下さいと言っているようなものだ。
優斗の全身に力が入る。
(こいつは敵だ。迷うな……行けっ!!)
力強く地面を蹴る音。
加速しながら精製した魔装刀を振り下ろす。
「なっ!?」
しかしミノタウロスにさえ一太刀入れた優斗の魔装刀はまるでただの棒切れのように保坂に受け止められていた。
素手で受け止めたはずの保坂の皮膚すら切り裂けていない。
「魔装は心を写す鏡だ。迷えば当然刃は鈍る。影宮君は今誰を斬った?敵か?人間か?それとも保坂という教師か?」
今だけは耳にタコができるほど聞いてきた教師としての保坂の声。
その後、何が起こったのか優斗は目で捉えることもできず地に伏していた。
殴られたのか、蹴られたのか。
条件反射で立ち上がろうとした優斗の体は意思とは関係なくまた傾いていく。
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