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「どうして気付けなかった!?観察する時間は嫌ってほどあったのに!!」
「無駄よ。あの人の言動に疑わしい点はなかった。完璧な教師を演じていたもの」
そんなことは言われなくても本当は分かっているのだ。
心の底から信じていたというよりまさか人類の敵が人間に残された僅かな縄張りの中に堂々と溶け込んでいる可能性なんて考えたこともなかった。
気付けなくて当然。
誰かに落ち度があった訳でもない。
それでもやりきれない。
「終わったわね」
呆気ない決着の瞬間を見届けたライラが小さく溜め息を溢す。
焚き火のように明るく公園を照らす炎の中心では全く動かなくなったクリーチャーが仰向けで転がっている。
積年の恨みを晴らした咲の表情は当然だが冴えない。
討ったのはただの実行犯で、指示を出した真犯人はまだ悠々と何処かで生きているのだから。
「私が追い続けてきたのはこの程度の奴だったのか」
気持ちは痛いほど伝わってくる。
しかし突進するしか能のないただの雑魚と思えるのは咲が血の滲むような努力を積み重ね力をつけたからであって、当時の彼女には絶対的恐怖を植え付ける化け物として映っていたのだから。
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