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心中を察しているだけにかける言葉が見つからず、視線を隣に移すと止まらない鼻血を袖で拭っているシュールな絵が飛び込んできた。
「鼻つまんどけよ。出血多量で死ぬぞ」
「ハンカチぐらい出せないの?」
「今時の男子高校生はハンカチなんて標準装備してねぇんだよ。ていうかそういうお前も持ってないんだろ」
「……落としたのよ」
「変な間があったぞ」
「しつこい男は嫌われるわよ」
「もう騙されない!お前のそういう助言は本からの引用に決まってるんだ!」
「……ふっ」
「鼻で笑うなよ!?でも随分と表情豊かになってきてお父さんは嬉しい限りです!!」
「鬱陶しい。暑苦しい。うざい。あと三メートル私から離れなさい」
「相変わらず言葉に容赦がなさすぎる!ったく、あの時のしおらしいーーブフッ!?」
言葉以上に容赦なく鋭い左ストレートが顎を捉え、脳を激しく揺さぶる。
蓄積されたダメージの深さにしばらくは立ち上がれないだろうなと思う。
「それ以上喋ったら殴る」
「もう殴ってるから」
「訂正する。それ以上喋ったら殺す」
「すげえ。全然冗談に聞こえない」
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