第三章 メラル

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「全く何をやっているんだお前達は。互いの青春を12ラウンドぶつけ合ったのか?大体どうすればあのシリアスな空気からこんな展開になるのか私にはさっぱり理解できんのだが……お陰で落ち込む気も失せたよ」 呆れたように苦笑する咲の表情を見て優斗も苦笑し返す。 「大丈夫。俺にも理解できてないから」 「はぁ。とにかく今日は帰って休め。今後のことはそれからだ」 「そうしたいのはやまやまなんだけどしばらくは動けそうにない。それに今後のことならもう決めてるんだ」 「どうするつもり?」 「新東京に戻るんだよ」 聞いた私が馬鹿だったみたいなライラの態度が非常にムカつくのだが、まだ立ち上がれない。 とりあえず寝ていたままというのもあれなので地面に腰を下ろして座るのが精一杯だ。 「まぁ聞けって。戻る理由は二つ。まず一つは明日花達との合流。これは当初からの目的だな。もう一つは保坂に繋がる手がかりが新東京に戻れば何か掴めるかもしれないだろう?」 「それはどうだろうな。何十年と新東京に潜伏していたあいつがそんなものを残しているとは思えないが……しかし他に選択肢があるわけでもないか」
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