第三章 メラル

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優斗とライラにも命を預かる重みが今やのし掛かっている。 だからこの一週間、それぞれがやるべきことをやってきた。 既に二人とも怪我の方は完全感知したとドクターのお墨付きももらっている。 だが正直余りにも異常な回復速度に二人が得体のしれない何かをあのドクターに感じていることも事実だ。 ちなみに車両こそ違うもののドクターも新東京組らしい。 「咲姉、新東京まではあとどれぐらいで着くんだ?」 「今のペースを維持できればもうあと一時間もしない内に隔壁が見えてくるだろう……ちょうどいい。今の内に優斗と高坂にも作戦の説明をしておく」 咲はペンと紙を取り出すと大雑把に新東京の見取り図を書いていった。 「先行させた偵察隊の報告によると現在新東京内部へと通じる出入口は西門付近でミノタウロスがこじ開けた大穴が一つだけらしい」 「ということはミノタウロスもまだ内部にいる可能性が高いですね」 「だろうな。自由に隔壁をぶち破れるあの化け物にとってわざわざ今ある道を使って出入りする必要はない。まぁそれは保坂が絡んでいる時点である程度予測していた」 「逆に保坂にも俺達の行動は読まれているとみていいだろうな」
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