第三章 メラル

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「それならそれで好都合だ。向こうから出向いてくれれば探す手間が省ける」 ちらりと咲の目の奥に憎しみの炎が揺らめいたような気がしたが、それは直ぐに消えていた。 「それで俺達はどう動けばいい?」 「優斗と高坂はまず東都国立研究所を目指せ。そこにいるのだろう?」 「あぁ。明日花達は絶対にそこで俺達が戻ってくるのを待ってる」 「ならば一切余所見をするな。クリーチャーは全て無視しろ。例えキメラクラスが立ち塞がろうとも相手にするな。それは他の奴等が引き受ける」 咲の言葉に武装した屈強そうな男達が任せろとばかりに頷いたり胸を拳で叩いて応える。 本音を言えば不安がない訳ではなかった。 実戦経験だけならば彼等の経験値は優斗とライラよりはるかに上だが、ことクリーチャー戦においてはその実戦経験はほとんど役に立たない。 現に彼等は一週間前のキメラ戦で成す術もなく蹴散らされている。 だがそんなことは誰よりも自分達自身が分かっており、その覚悟に水を差すことに意味はない。 「だが一体だけ例外個体としてミノタウロスと遭遇した場合はお前達二人が倒せ。アレは魔装士でなければ倒せん」
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