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「あいつらは、俺に人生最高の”ゲイム”を、押し付けてくれた。」
男は、黄ばんだ歯を見せ笑った。
「そのあいつらってのを、そろそろ教えてくれてもいいんじゃないか?」
「刑事さんよ、何度も言うが、俺にもそれは分からない。」
もう一人の、茶色い背広を着た男は呆れた顔をして、ため息を付いた。
「何をもったいぶってんだ。何がお前をそこまで引き止める?」
「何者か知らないってのが、俺が知る真実の全てだよ、刑事さん。」
二人は、冷たいビル風の吹く白い街中をゆっくり歩きながら話していた。
「今更だが・・・刑事、ってのはもうやめてくれ。」
「どうしてだ?お前は立派な刑事さんだ。俺の正体を突き止めた。」
刑事は白いため息を付き、悲しそうに笑った。
「俺、刑事辞めたんだ。」
その時、冷たい風が二人の間を通り抜けた。
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