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 東京都某所の安いワンルームマンションの一室。  一人の男がいびきを立てて、大の字になって寝ていた。  季節は真夏。  カーテンの閉められた部屋の中は、湿気と酒の匂いが充満し、むさくるしい程であった。  ピピピピッピピピピッ・・・  小さな部屋に響く、安っぽい電子音に男が唸り声を上げる。  もぞもぞ動き出し、小さな座卓の上の物を散らかしながら体を起こした。 「ったく、もうこんな時間かよ・・・。」  時計は火曜日の午前十一時を指す。  男は煩いアラームを鳴り止ませ、転がったビールの空き缶を両手に持ち台所に向かった。  そして、また新しい缶ビールと残り物のつまみを冷蔵庫から取り出し、座卓の前に座る。  ふと窓のある方を見て立ち上がり、カーテンを一気に開ける。  目の前に広がる空は、雲一つ無い、まさに快晴。  その空を前にして、暗い部屋に座りビールを眺める。  しばらくして、男は大きく息を吐きながら缶ビールを冷蔵庫に戻した。 「散歩でもすっか。」
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