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のんびりと着替えを済ませ玄関のドアを開けると、たちまち熱気が部屋に押し寄せてきた。
さっきまで気付かなかったセミの鳴き声が、今では煩い程聞こえる。
締りの悪い恰好の男は、閉まりの悪いドアを勢いよく閉じる。
「暑いな・・・。」
当たり前の事を口にする。
この時間帯では、ご近所はみんな仕事かお昼寝だろう。
「散歩ついでに牛乳買ってくか。」
男は、だらしのないよれよれのジャージ姿にサンダルという、これ以上にない程のラフな格好で階段を降りていった。
出入り口のポストには、新聞ですら入って無い。
男は目的地を、少し進んだ先にあるスーパーマーケットに定めた。
重い足取りで道路の隅を歩く。
頭頂部の髪が、炙られた様に熱くなっているのを感じる。
「だめだ、少し休むか。」
男は目の前にあったコンビニへと足を運んだ。
「いらっしゃいませー。」
涼しい環境で働いてお金を稼ぐ、大学生くらいの男の声が店内に響く。
客はちらほらと見える程度だった。
雑誌スペースに足を運び、立ち読みを図るが。
ふと、通りかかった若いOLの冷たい目線に、男はその卑猥なコーナーを立ち去る他なかった。
何も買う気がなかったこの男にとってもうこの店には居場所が無く、自動的に店外へと追い出される羽目になった。
「ちゃっちゃと用を済ませよう。」
男は足取りを速めて、スーパーマーケットに向かった。
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