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都心にほど近い動物公園にぼくはいた。
平日のためか人もまばらで、そのせいか敷地がより広く見える。
あたりは静かでまるで時間も止まっているようだ。
携帯を開きエミに返信する。
『ゾウを見ている』
実際、ぼくは一頭の年老いたゾウをずっと眺めていた。
ゾウは、狭い敷地を歩きまわるでもなく、ただずっとそこに立っていた。
すぐにメールが返ってきた。
『ゾウは何してるの?』
『立ち止まっている。だけど常に鼻を動かしたり、からだを揺すったりしている』
『止まっているけど、動いているんだ』
『そう、止まっているのに、なぜか動いている』
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