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大地は笑って言う。
「ま、いいや、歩きながら話す。早く出よーぜ、やっぱ目立つらしい女子の中に男子二人って。」
大地が示した方をちらりと見ると、気づかないうちにこっちを見ている女子が増えたようで。俺たちはチョコレートコーナーを後にする。
「それで?さっきの話は?」
店を出てから数分、俺は大地へと問い掛ける。
駅に向かういつもの帰り道。いつもはもっと人が多いが、今日は休みであるからか、あまり人も多くない。隣を歩いている大地は何故か面白がりつつ話し出す。
「あーハイハイ、どーやら俺たち…、一部の女子に、"恋人同士"だと思われたらしい。」
「へぇー…、そんな風に…。って、はあぁっ!?」
「いやちょっ、リアクション!何今の若干の間!?」
そうツッコむや否や、大地は俺の方を見て爆笑する。
「ははっ…、気づいた時の表情の変化っ…!面白っ、流石だわー海ちゃんさすがだわー」
「だから"海ちゃん"呼びすんなっての!
また殴るぞ。」
「声のトーン途中で落とさないで、怖いから…!」
「…ま、いいか、今回は。で、それどーゆー事だよ?」
「どーもこーも、言った通りですよ、"恋人同士"。…何で見られてんのか分かんねーから、こっち見てる女子の会話、少しでも聞こうと思って耳澄ましてみたわけ。そしたら…」
――――…あの2人、バレンタイン前日にチョコ見てたよねー!付き合ってんのかな…?
――――…1人じゃなくって、2人だし!…私さっき、あの人が、レジに並んでる人に「行かないで」って言ってんの聞いちゃったしー!絶対そーだって!
――――…私も、あの人がチョコ買ってって頼んでるの聞いたよ!
――――…えー!ホントー!?間違いないじゃん!
「そこまで聞いたらもう、逃げたくもなるだろ?」
大地は笑いつつも頭を押さえる。
…あれまで聞かれてたのか、というか、よくそこまで女子の会話、聞き取れたな…。明日学校で変な噂になってないといいけど…。同じ学校の女子が居なかった事を信じるしかないか。そうこうしているうちに気がつくと駅で。
「お、もう着いたなー、んじゃ!俺、あっちの電車だし。」
「あぁ、って大地、コレ。お前の」
歩いて行こうとする大地を慌てて止める。うっかり渡しそびれる所だった。買ったチョコを袋から出そうとするが、
「ストォーップ!!」
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