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そういうわけで。
まぁとりあえず、原因は兄貴のせいである。
なんて事を考えてるうちに、さっきよりは人が減ったようで。今の内に…そう思い、俺はチョコレートコーナーを眺める。
抹茶などの和風のものから、クランキーや生チョコ、キャラクターの形のもの…。お手頃価格から結構な値段のものもある。これだけ種類があると長い時間悩んでいる女子の気持ちも分からなくはないな、なんて一人で納得。
「あれー?海璃じゃね!?」
「!!」
唐突に名前を呼ばれ慌てる。
まずい、同じ学校の奴か?こんなバレンタイン前日にバッタリ会ったら明日色々と気まず…
「なぁー!やっぱ海璃だろ!」
考えている間に声をかけて来たであろう人物が後ろからひょっこり顔を出す。
「ー!……、何だ、お前か。」
「いやおい!何その反応!しかも名前じゃなくて"お前"呼びかよ」
そこにいたのは同じクラスの…
「いや、え?名前忘れてないよな?」
「分かってる。…大地。」
満足気に頷く大地。
「…で?おま…大地は何でここにいるんだ?」
「また言う…いや、ってか、それはこっちのセリフだっての。年に一度の素敵イベント、バレンタインデー前日!に、一番興味持たなそーな海璃がチョコレートコーナー周辺ウロウロしてるとか声かけないわけには行かねーだろ?」
「…何でそうなるのか意味不だな。ま、いいけど。…特に用事無いなら声かけんなよ」
後々学校で話されたりしたら色々と面倒だ、そう思い、俺は大地から視線を外し、チョコレートの方に目を向ける。
さぁ、どれにするか…
「ぉおぃ!俺の質問に答えは!?」
「は?質問?何が?」
チョコを手に持ったまま視線をそのままに問い掛けるが、
「俺の方向けし。」
大地によって手からチョコレートを取られ、そっちを見ずにはいられなくなる。
「何だよ?それから早くそれ返せ」
「何その態度、冷たくね?俺ら友達だよね?ってか俺は親友であると思ってましたけど?」
「あー分かった分かった。親友。で何?」
「いや素っ気無ぁぁ!…ま、いーよ、海璃はそんな奴だった、うん、分かってる。分かってて仲良くしてる。頑張れ俺!」
さりげなく大地の手からチョコを取り、棚に戻して、大地の方を向くと
「おぉぉ!ちゃんと聞いてくれる気になった?待ってたその行動!」
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