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いちいち会話にツッコむのもな…と思い、とりあえず耳を傾ける事にする。
「それで、俺が聞きたいのは"何でバレンタインとか興味ない海璃がチョコレートコーナーで買い物?してんの?何で?何かあった?"」
全く…誰にも見つからないように事を済ませる予定だったのに。何かいつもコイツには見つかってるような…気のせいか?
仕方ない、話すまで帰ってくれなそうだしな…
「…はぁ、兄貴に頼まれたから。」
「えぇ?兄…陸さんに?何故?どうし…」
「全部話すからちょっと黙ってろっての」
「あ、わりわり。」
俺は、とりあえず事の経緯を話す。
「あー…はいはい、なるほどね。とりあえず海璃は、陸さんのペースに"いつもの事ながら"乗せられちゃって、断る暇もなく今に至る、と。」
"いつもの事ながら"という言葉にはちょっと納得したくないが…
どうやら理解してくれたらしい。
「という事だから、分かったら早く帰…」
「帰っても別にやる事ねーし…、一緒にチョコ見るわ」
「は?いや早く帰れよ、何でそうなった?」
このバレンタインデー前日に女子が多い店内にいるのさえ気が引けるのにそれにプラスでこいつと店内歩くとか目立つだろ。
女子同士でチョコ選ぶのは分かるけど、男子同士でホワイトデーならまだしも、バレンタインデー前日にチョコ選んでるとか…何故?見た事ないんだが。
そう思い言ったものの、大地は帰らなそうで。
「…なら俺が帰る。じゃーな、大地」
違うトコ行けばいいだろ、
「いや、ちょ…待てーい!」
立ち去ろうと大地に背を向けるや否や、思いっきりコートの襟を引っ張られる。
「ッ!? ゲホゴホッ、! …な、にすんだバカ…!」
「チョコ見ようぜぃ!」
とびきりの笑顔で。ただただムカつく。
「そんな目ー、輝かされてもな。帰る。」
「帰んないで!行かないでー!!」
「!?」
周囲がざわつきあちこちから視線が注がれる。
遠くの方では何やら女子同士でこっちを見ながら楽しそうに小声で話している。
「…お前な、!大声で誤解生むような事言うのやめろ、ちょっとこっち来い…!」
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