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冷ややかな視線を送って、大地が離れるのを待とうとするも、大地はそんなのお構い無しで離れない。何だコイツ、まさか兄貴と同類か…?何でこんな。いらない所で頑固な意味が分からない。俺はため息をつくと、大地の方へと顔を向ける。
「…分かったよ、一緒に買ってやるから早く持って来い」
結局折れるのは自分の方だ。
「やったー!あんがと海璃ぃー!お前を友達に持った俺は幸せ者だ!」
そう言って、楽しそうにチョコレートコーナーへと大地は戻る。
…ったく、大袈裟な奴、…呆れる。
まぁ、結局アイツのチョコを買ってやろうとしてる俺も、人の事は言えないか。
「海璃ー!! 俺の分コレな!」
チョコを買って貰えるのが本当に嬉しいらしく、大地は満面の笑みでチョコを渡して来る。渡されたチョコを見てみると、値段は兄貴に買う用と同じ位だが、パッケージが随分可愛い。
「……。コレ、お前の趣味か?」
「は?いやいや、どうせなら女の子がくれました感を出してーじゃん?
何かコレ、人気No.1らしくてさー!No.1買っといたら問題ねーだろ!って思って。」
買うの俺だからって…何てモン持って来てんだコイツは…。というか、さっき自分で"友チョコ"って言ってただろ、何で"女子から貰った感"を出したがっているんだろうか。視線を向けるが、チョコを持って来た張本人は、こっちを見るなりウィンク。
「……………。」
若干イラッとしたが、持って来いと言ったのは俺の方であるため仕方ない。やれやれと思いつつも、レジへと向かった。
「ありがとうございましたー!」
笑顔で対応してくれたレジを後にし、辺りを見回すと、遠くの方で大地が手を振っている。どうやら俺がレジに並ぶなり、素早くバレンタインコーナーから離れたらしい。
「…ったく、自分だけ素早く脱出かよ…?」
「いやー、わりわり。ほんとは待ってようと思ったんだけどさー…、レジに並んでる海璃見てたら、一部の女子の視線がね…?」
「女子の視線?」
場違いな俺がレジに並んでて、何かしら言われたりするのは分かるから、俺が見られてたって言うなら仕方ないと思うけど…。別に大地が俺の方見てるからって、女子の視線が来るのは…
「おかしくないんだなぁー…それが。」
「!何で俺の考えてる事…?」
「お前見てれば分かる。結構長い事一緒にいますからね。」
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