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「は?」
止められた意味が分からずに大地の方を見ると、
「ソレ!明日渡して!」
「何でだよ!わざわざバレンタインに渡さなくても、このまま持ち帰ればいいだろ?面倒だし。」
俺はチョコを渡そうとするが、
「NO!! ダメだってー!いかんぜよ!」
頑なに受け取ろうとしない大地。
…自分で買えって頼んで来たくせに一体何なんだ、この態度。その上、必死すぎて言葉もおかしくなってんぞ?
「だってさ!今、ここで貰ったりしたら、家の人に自分で買ったのか、って言われて笑われんのが目に見えてるし!母親ならバレてもまだいいけど、うちの姉貴、すぐ学校でネタにするんだよ!人の失敗談とかそーゆーの。」
…そういう事か。コイツはどこまで姉を苦手視してるんだ?俺と兄貴が見た限り、普通に優しそうで綺麗な人だったような…
「家では違ぇの。俺の前では!って、今の話絶対姉貴には話さないでな、海璃!」
「へ?…あぁ、」
"頼むぞ"と念を押される。コイツにも苦手なモノあったんだな、なんて思い、思わず笑った。
「…! 海璃、笑い事じゃねーの!おい!」
「はははっ…、…分かったよ、」
「よっしゃ!マジ助かるわ!ありがと海璃!じゃ、また明日なー!」
大地は嬉しそうに手を振って、走って行く。
やる事が増えたな…なんて、思いつつ。俺も、ホームに向かう。明日の事を考えつつ、電車に乗り込んだ。
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