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いつもの目覚ましで目が覚めた月曜日の朝。素早く着替えて、壁に掛けられているカレンダーに目を向けると、2月14日の日付に大きくハートのマークが描かれている。
「………?」
全く身に覚えがない。予定等も手帳があれば十分だと思っている俺は、カレンダーは日付を確認するためだけの物であり、印をつける事もほぼ無いのだが。
…まさか、
そう思うや否や、
「海璃ー!朝食出来てるよー、着替え―――」
突如開けられた扉に向かって、思い切り側にあった枕をぶん投げる。見事、当たったんだろう、兄貴の姿が一瞬見えなくなる。
「…ノックせずにいきなり開けんなって、何回言えば分かんだよ、陸。」
投げられた物で顔面が若干赤くなっているにも関わらず、兄貴は満面の笑み。
「相変わらず愛情表現が乱暴なんだから…海璃は。朝から"陸"呼びなんて恋人同士みたいで嬉しいけど」
「…お前も相変わらずだな。」
いつものやり取りに朝から呆れる。
兄貴は投げられた枕を嬉しそうに抱えながら部屋の中に入って来る。
「~♪ 海璃の私物ー、海璃のにーお―――」
全て言い終わる前に枕を奪って、頭を叩く。
「痛…くない…、海璃優しいー…でも今日も寝顔見れなかったな…着替えるトコも…」
「見る必要ないだろ」
何考えてんだコイツは…。全く、兄貴がこんなだから朝ゆっくり支度も出来ないってのに。
「海璃ー、もっとゆっくり支度していいんだよー?ご飯だって朝は俺が作るし。俺が海璃の部屋に入るまでぐっすり寝てくれていいのに…」
―――その方が、無防備な可愛い海璃の寝顔が…眠そうなまま俺の名前呼んでくれるのもいいなぁ…
「おい兄貴、考えてる事全部顔に出てるぞ」
海璃のツッコミにも構わずに陸は笑顔。
「って、もう結構な時間じゃ…、こんな事してる場合じゃない、兄貴早く。」
「はいはーい、あ、海璃、階段気をつけてね」
わざわざ振り返って話し掛けてくる兄貴。…そういう所は気が利くんだよな…、
下の部屋に降りてテーブルの席へと着く。
「今日はフレンチトーストだよー」
兄貴はエプロンを椅子に掛けて座る。
…エプロンしてたのかなんて今頃。
「どうかした?」
「へ?…いや、別に」
「俺に見惚れてくれた?」
笑顔で首を傾げつつ問い掛けてくる。…女の子の前でその行動したらいいのに。
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