2.バレンタイン 中編

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「着いた、」 急いで出て来たかいもあって、意外といつもと大体同じ時間に着いた。やれやれと思いながら玄関へと入る。 …っ、と、靴… 「お!海璃じゃね!? おっはよー!」 「…………。」 「聞ぃーてるー?」 すぐ側まで駆け寄って来るなり背中を叩かれる。 「…痛って、聞こえてる。朝から大声出すなよ…」 「何だよ何だよ、テンション低いなー、寝不足か?」 「朝からそのテンションでいられるお前の方が俺には疑問だ」 「またまたそんな事言うー、今日は楽しい日のハズだろー?」 「は、楽しい日ね…、」 別に"バレンタイン"ってだけでそんな風に考えた事は無かったな、 …ん? バレンタイン? 何か忘れてるような… 「それでー?"チョコ"は!?」 「…あ、! それだ…」 「は?」 俺の一言にきょとんとする大地。 次の一言でどうなるか大体分かり、若干ためらいながらも言う。 「…悪い、家に置いて来た」 「は?」 若干の間。 そして、 「…えぇぇぇぇ江絵えぇっ(°Д°)!!??」 絶叫。 思わず耳を塞ぐ。 …というか何か言葉色々と混ざってたような… 「悪いっ、朝急いで出て来たから、多分部屋に…そのまま…?」 「マジかよっ!!俺今日、"チョコ貰える"っていう事を楽しみに!糧に!やる気に!して学校来たんだぞ?それを何?忘れて来たぁぁあ…!?」 そんな言われても、こっちにだって言い分はある。 「…だから昨日、渡そうとしただろが。俺が覚えてるうちに素直に貰ってくれれば良かったのに…」 「それは昨日言った通りだっての、それに海璃、"分かった"って言ったじゃん!」 「う…」 そこまで言われると反論出来ない、 「うわぁぁー…終わったー…。俺、もう帰ろうかな」 大地はその場にしゃがみ込み、項垂れる。 「…本当に悪かったって、明日でもいいだろ?」 「えぇぇー…、」 そんなに落ち込まなくたって…、 たかがチョコ1個…、 「――…ほら、早く教室行かねーと、」 靴箱を開ける、
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