2.バレンタイン 中編

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「………?」 靴箱を開けたまま止まっている俺に、 「海璃?何止まってんだよー…、あぁぁっソレ!?」 入っていたのは一つの箱。 手に取って眺める。 「えっと…?」 「チョコじゃん!マジ!? 靴箱にチョコって、そんな漫画的な展開ホントにあんのかよ!誰から誰から!?」 貰った俺よりも興味津々に、大地は俺の手から箱を取ると眺める。 「んー?名前、書いてねぇな?誰だろ、分かんね。」 「全くお前は…」 そう呟いて箱を取り返す。 ―――…こんな事すんのは多分…、 「その顔、もしかして覚えあんの?誰か教えろよー、」 「別に面白くないぞ?多分知り合い。」 「知り合いー?誰だ?」 大地は真剣に考え始める。 「…別に誰でもいいだろ、早く教室に…」 「待てコラ。」 大地は笑顔で、俺の服をぐいっと引っ張る。 「ー!……?」 「海璃さー、自分はちゃっかり貰っといて俺へのチョコは"忘れてた"って何なの?自分だけ良いですねー、海璃ばっか、海璃ばっか…海璃ばっ…「悪かったって!その黒い笑顔で近寄んのやめろ、怖ぇから…!」 「だってぇぇぇぇ…」 「あーもう、分かった、放課後!家帰って持って来てやるから…!」 「…え?…マジで!!?ぃよっしゃぁっ!チョコー!海璃ー!!」 「テンションの上がり下がり大き過ぎだろ、飛びかかんな!」 楽しそーにくっついて来る大地を横目で見つつ、ため息をつく。本当に疲れる。コイツこんな奴だったか? 「よし、教室行くべー!」 さっきまでの落ち込みはなんだったのかと思うくらい、ハイテンションに戻る大地。どうやら機嫌は治ったらしい。 全く、朝っぱらから…。 なんて思いつつ、教室へと向かった。
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