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教室に入ると、
「あ、おかえりー海璃。買えたー?」
相変わらずモグモグしながら、手を振って来る大地。
「…! てっきり食べ終わってるかと思ってた。さっきのペースでだったら」
手にしていた袋を机に置き席に着く。
「ちゃんと待ってましたよー。さっきまで食べるのストップしてたしー。一人でご飯とかさみしーっしょ?」
「別に、」
そう一言告げ、袋から取り出したサンドイッチを食べ始めると何故か大地はこっちを見ながらムスッとしていて。
「…どうかした?」
「べっつにー…。海璃そっけなくねー…?」
"別に"じゃないのか?口とがらせて言われても…後者の方が明らかに本心だな。
「せっかく"待ってた"っつったのに海璃、」
「分かったって、ありがと大地」
「……!」
「これでいいだろ?」
大地は一瞬戸惑ったような反応をするが、すぐにいつもの調子に戻って、
「何だよ何だよっ!そのツンデレ気質!ってか、初めっから素直に喜べばいーじゃーん!このっ、照れ屋さんっ!」
「……ウザい。」
「冷めんの早ぁっ!? え、ちょっ…さっきの"デレ"はどこへ!?」
「熱した覚えも"デレた"覚えも無い…、というかお前喋ってばっかで食べないのか?休み時間終わるんじゃ?」
「食べるけどさ!別に、パン食べるくらいなら5分もかかんねーし。よゆーよゆー。」
大地は楽しそうに次のパンを食べ始める。
「あ、そーいえば大地、お前に頼まれたパン以外に、笛さんサービスで色々くれたけど、食う?」
「マジで!? 食う食うー!さすが笛ばーちゃん!」
「その呼び方好きじゃなさそうだったぞ、」
さっき笛さんに言われた事を思い出して大地に話す。
「えー、笛ばーちゃんは、笛ばーちゃんなんだけどなー、俺にとって…。って、こんな貰ったのかよ!ハンパな!海璃ばっかずりぃー…ってまさか、呼び方のせい!?俺の時と違うのって!?」
大地は次から次へと独りで喋っては自分でツッこむという事を繰り返す。
「ははっ…、お前、独りコントでもしてるみたいだな、」
「は?何笑ってんだよー!他人事だと思って!こっちにとっちゃ、一大事よコレ!?」
必死な大地の様子が可笑しくて笑う。
「おい、笑い過ぎだっての!もー!海ちゃんの分まで貰ってやるぁーっ!」
唐突に取り上げられる、パン。
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