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「…暑いと中々ね…、海璃にくっついたらくっついたで…また怒られちゃいそうだしなぁ、…うーん…冷やす……、
あ、そうだ、全身に水被るのはどうだろう?」
さっきまで笑顔を浮かべていた相手が、真剣に何かを考え始めたかと思うと。今度は至って真面目な顔でそんな事を言うものだから、そのギャップも相まって可笑しくて。
「……っ、陸、流石にそれは違うと思うぞ。海璃君ならお前がそんな水浸し状態で近付いて来たら普通に心配すると思うが」
「あぁ、!そっか…海璃優しいから…っ…!」
笑いを堪えつつ返した俺の言葉に、言われて気づいたかのような表情を浮かべてから。
「あとは…どこかの工場とか倉庫とかにある大きい冷凍庫に入ってみるとか?」
「ちょっと無理があると思うが、凍死するぞ」
「……なら、雪山に登る!」
「よりハードルが上がったな。というか体冷えた状態で海璃君のところに戻るのがもう無理な話だな」
一通り考えたかのような相手が、
「…うーん、そっか。意外と出来ないものだね、丁度よく体冷やすのって。」
そう言って首を傾げるものの、こっちとしては。
「まぁ、そうだろうな?…というかお前一人が冷える状況を作らなくても、手っ取り早く兄弟で寒いところに行けばいいんじゃないのか?」
「……!!!!」
暖を取る状況にさえなれば、くっついても平気だろうという俺の考えに、目の前で驚いたようにこっちを見て固まる相手。陸の事だ、大学でも普段から学力等好成績である為、この考えは既に頭にあるものだと思ったのだが。その反応を見る限り、どうやら考えていなかったらしい。
こんな時ばかり視野が狭まる相手を意外に思いつつ、そんなに驚かれるとは思わなかったな、と。
「そっ…か、言われてみれば…? …うん、参考になった。
ありがとう砂衣」
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