一体どうしてこうなった。

…冷感素材

「…いや、お礼を言われるような事を特に言ったつもりは無いからそこは気にするな、でもまぁ、これで思い悩む必要は無くなったな、陸」

「…そうだね、それにしてもごめんね？こんな俺の思いつきの言葉にここまで真剣に考えてくれるのなんて砂衣だけだよ」

俺の言葉へと頷きながらそう言って笑う相手だが。それはまぁ、

「…謝らなくていい、その突然の思いつきの言葉が、俺にとっては刺激になるというか面白いなといつも思っているから、陸はこれからもそのままでいいんじゃないか？」

「…っ、え？……そっ、か？……ありがと…」

いつも笑顔な陸が…今は。そんな言葉と共に、こちらからふいと視線を逸らす素振り。

「…？ どうかしたのか、？」

「……その、砂衣の言葉が思いがけなくて、ちょっと…照れた…かも、」

一瞬見えた、陸の少し赤みがかったような頬へ、

…手を伸ばして。

「…、？」

「…そうか、“お前でもそんな顔するんだな”…、」

思わず口を出た俺の言葉のせいか、

「…え、…っ、砂衣、？」

いつもと違い、どこか余裕の無いような、戸惑ったような表情を浮かべてこちらを見つめ返す陸に。

…少し“惹かれた”、なんて。

言いはしないが。

「…っ、あぁ。お前が照れるだなんて珍しいと思ってな、？」

頬へと触れていた手を離しつつ、思った事をそのまま言うと。

「…そんな言葉を普段砂衣から聞かないから、ちょっと調子狂って、」

少し無愛想な、納得していなさそうな陸の言葉に思わず

「そうか？ それは悪い事をしたな」

「…そう言いつつ砂衣、笑ってるけど…、？」

答えてから。こっちを見て言う相手に。