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「海璃、台風だって…!台風来るって…!」
ある日の事。
話している内容に焦っているのかと思いきや、どこか嬉しそうな雰囲気のニュアンスで言われる言葉に違和感を持ちながら、
「…テレビでずっとやってるし、そんな何回も言わなくても…分かってる…けど」
答えてから。変わらずこっちを見ている兄貴の視線がやっぱり気になって、つい。
「………なんか兄貴さ、」
「うん?」
「……嬉しそう、?」
「うん、“正解”!」
え、なんだその満面の笑顔。それから“正解”ってなんだ。
「……正解…?」
少しの間の後、どういう事かとそう口にするとこっちを見た兄貴は笑って。
「もし、もし台風接近で直撃…!とかなったらさ、?」
そう言う兄貴の言葉に今度は自分の方が頷いて話を聞くと。
「“学校が休みになる”!!」
「………は?」
普段の兄貴らしからぬそんな意見に思わず。努めて冷静に返す。そんな小学生みたいな意見なんかを話す兄貴とか、大分久しぶりに見た。何でだろうか、休みたい理由でも?そう思って、
「…兄貴さ、」
言いかける俺の方を見て首を傾げる相手へと。
「…どっか体調悪い?疲れてるとか、……大丈夫?」
「え、?なんで…?」
「?…違う、…ならそれでいいんだけど、突然そんな事言うの珍しいと思ったから。てっきり具合が悪いとかで休みたい理由がなんかあるのかなって、」
「いやいや、そういうのじゃなくて、でもそれって…海璃、俺の事心配してくれたんだ?」
「………、」
それは…まぁ、言わないけど、
「否定しないって事はやっぱりそうなんだ、!ありがとう海璃ー…!……って、アレ?」
「…くっつかなくていいから、で?そんなん言うのは何でなの、」
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