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「…?…兄貴、何してんの?」
6月も終わりに差し掛かってきた頃、梅雨はまだ明けないようで、今日も雨か。なんて、窓の外を眺めていたものの。ふと、テーブルの上で作業をしている兄貴に気づいて、声をかけると。
「へ?…あぁ、てるてる坊主…を作ってみてる?」
俺の言葉にそう答えてこちらへ見せてくれた作りかけのてるてる坊主。
「…へぇ、てるてる坊主…なんて作ってんの大分久しぶりに見た。小中学校以来?」
「あー、たしかに。…そうかも?」
珍しさから、つい興味を持って自分も兄貴の近く。テーブルの側に移動すると、座って作業を続ける兄貴の手元を眺めて。
「…そういえば、てるてる坊主って先に顔描いちゃいけないらしいよ?」
「え?そうなの?」
ふと思い出した事を兄貴へ話す。
「うん、最近インターネットで見た?俺も今まで知らなかったんだけど…」
「へぇ、そうなんだ。じゃあこれは捨てるか、」
「! …いや、そんなあっさり?せっかく作ったんだし次からでいいって、さすがに可哀想、」
俺の話を聞くなり、予想外の早さでそんな事を言う兄貴が、手に持っていたてるてる坊主を(なげやりに)すぐ捨てようとするものだから、咄嗟に兄貴の手を掴んで止める。
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