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「…ところで兄貴さ、てるてる坊主、突然作ったのは何で?明日晴れて欲しい理由でもあるの?」
よくよく考えてから、…今になって?…今更。思って。
窓の近くへ、作り終えたてるてる坊主を手際よく吊るし始めた兄貴の方、ふと疑問に思って聞いてみる。
「え?…それは…そのーーー……、」
「……?」
聞かれた言葉が予想外の事だったのか、何故かこっちへ言いかけた言葉を途中で濁らせる兄貴。そんな相手を不思議に思ってそのまま見ていると。俺から窓の外へと視線を向ける兄貴が。
「……海璃が…ここ最近、窓の外見てる時、?…憂鬱そうに見えた…から」
「…え、それって、……もしかして…、俺のため?…って、あ。その…えっと…、」
思わずそう聞き返した後、これはちょっと自己中心的な言葉っぽいかなと思って、訂正しようとするも、
「それは勿論。…俺、海璃のためにならない事は基本しないし、しようとも思わないし。それでも…まぁ、“海璃のためとは言いつつも、本当は“俺のため…でもあるんだけどね?」
俺が言葉を返すその前に、先を続けた兄貴の言葉が少し気になって。
「“陸のため”?っていうのは、」
…何かと。
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