節分~夏目家。

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「海璃ー?立ったままどうし…?うわあぁああっ!!」 俺を追って部屋の中へと入って来た兄貴は、固まっている俺を見るなり焦りまくる。 「お前、なぁ…!」 こんなの、ストーカーとかがやるようなやつだろ…!?と言おうとするも、そういう質の悪い戦慄するようなものでも無くて、 カラフルなペンで幸せそうに書かれている文章に、思わず出かけた文句を止めてしまった。 「海…璃?やっぱ怒って…、」 「…るけど、何て言うか、」 この写真の貼り方は、ストーカーとかの、犯罪者ってよりも彼氏彼女の方が近い気がする…。 それもそれで…何というか複雑なんだが。兄弟だし。 思わずため息。 …かと言って、このまま何も言わずに立ち去るのも、何というか気に入らない…?わけで。 「…何で俺の写真ばっかなんだよ…家族写真とか、クラス写真とか、友達と撮ったのとか貼ればいいだろ?」 「俺はこれでいいんだよー、選別するにも海璃の写真とか可愛いのばっかりで、すっごい時間掛けたんだよ?」 「はあぁっ!?…バッカじゃねーの…!?そんな無駄な事に時間掛けて無いで、もっと有意義に時間使えよな…!」 「えぇぇっ!?全然無駄じゃないよ!俺にとっては大分充実してるよ?」 「どこがだよ…ってか、選別に時間掛かるって? 陸、俺の写真どんだけ持って……」 …流石に怖いんだが。まさかそんな、な… 「…うんとねー、缶いっぱいが埋まる位かな」 「…缶?って、?」 「へ?クッキーが入ってた缶だけど…」 そう言って兄貴は、部屋のクローゼットを開けると、 お歳暮とかで送られて来るような、大きな四角い缶を出す。よく何十枚セットとか、色んな種類が入ってる感じの。 …嘘だと言ってくれ。 この大きさで、缶いっぱい?しかも、俺の写真ばっかり…? もしアルバムとかに入れたら一体何冊分…、 頭が痛くなって来た。 「えへへー、懐かしいなぁ…海璃が小学校の時のとかもあるよー、」 そんな事を言いながら、俺とは対照的に楽しそうに写真を取り出す兄貴。 次々と出しては見せられる写真を呆れながらもぼんやりと見つめるものの、その途中で見せられた写真が問題だった。
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