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「この海璃なんて、本当に天使だよね!いや女神かな?」
「…は? それって…、?」
元からテンションが高かったにも関わらず、明らかにさっきまでのノリより高いような…、
不審に思いつつ、兄貴が手にしている写真を眺め、
…気づく。
「ーッ!!??…っな、何でその写真まだ持ってんだっ…!!」
俺は陸の手から慌てて晒されている写真を奪い取る。
「っえ、ぅわっと、ちょっ、海璃、!」
「一枚残らず、全部燃やせって、言ったよな…!!言っただろ…!?」
学祭の時の、コンテスト写真。
…女装。
最悪な俺の黒歴史。思い出したくもない。
「燃やせるわけ…!だってこれ、グランプリにな…「それ以上言うなぁぁあっ!!
ッ、バッカ陸!」
真っ赤な顔で陸の頭を思いっきり叩く。
「不本意だ…っ、!」
ノリの良すぎる母さんと、兄貴のせいで、本っ当に…
あぁ、思い出したくもない。
「痛いよ海璃、…ま、赤い顔の海璃見れたから、俺は只々嬉しいけど…。ほんとに可愛い」
今の行動で、ひらりと俺の手から落ちた写真を拾うなり。改めて綻ぶ兄貴の顔。俺の気も知らないで、ほんと何なんだコイツ。
「…ニヤニヤすんな、全部燃やすからよこせ、"一枚残らず"。」
兄貴の服の襟を掴みつつ。
「ちょ、…海璃、待って、首絞まってるから…!」
俺の行動に慌てる兄貴。
そうは言うが、これは明らかに兄貴が悪いだろ間違いなく。俺の行動は真っ当だ。これで怒らないわけないと思う。世間一般の心理だよな?
「ごめ…ごめんって海璃…!」
渋々兄貴の服の襟から手を離し、
「…で?」
写真を渡すように手を差し出すものの、
「…え?」
さっきの表情と一転、笑顔を浮かべつつこっちを見つめる兄貴。
「……………」
思わず無言で手を差し出したまま固まる俺に、
笑顔で。
「なにー、海璃?……あ。握手とか?」
「……もっかい叩かれたいのか?」
俺の手を握り返す兄貴に即答。
「いやいや…!そういう訳じゃ!」
「…なら早くその写真寄越せバカ」
「ちょ海璃、黒い、言葉が黒いよ?」
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