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【はじめに。】
たとえば、僕は後悔していた。
その後悔はいつからだったか覚えてないほどだ。
何の後悔って、それは当然はじめてしまったことだ。
これも然り、あれも然り。
はじめるってことは簡単で、だからこそ罪深い。
いつのまにか呪われてしまったのだ。
どうしたって終わりが来るのに。
それを悲しいからって先送りにしようとしている。
僕はそういう人生を選んでいる。
だから僕は後悔しているのだ。
君がこれを見てしまった瞬間に、はじまってしまうのだ。
助けてほしい。
僕をここから助けてほしい。
できるだけ優しく、僕が傷つかない形で。
この呪いが解ける方法を探していた。
その方法もなんとなくわかった。
だけど、これは呪いだから、解いてしまうのがこわいのだ。
そういう呪いだから。
呪われていると安心なのだ。
呪われていると、未来の自分が簡単に描ける。
だけど助けてほしい。
僕の苦しむ未来がすぐそこにある。
それを望む僕がいる。
そういう呪いなのだ。
呪われたことを後悔しているように聞こえるかもしれない。
だけどそれは間違い。
呪われたのは僕の責任だから、後悔なんてできない。
後悔もできないような呪い。
僕が悔やんでいるのは、だからはじめてしまったこと。
この呪いをおおっぴろげにして
助けてくれって恥を晒したことなの。
だけど最近の一番の悩みは
っていうか後悔ってやつは、
うん。
僕が僕のことを俺って呼びはじめてしまったことかな。
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