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志緒の中に溺れて、
彼女を彷徨ううちに、
俺が通り過ぎてきてしまった
いくつもの安らぎが訪れる。
俺のどうしようもない
粗暴と淫蕩を、
志緒は自らの慈愛と艶麗で
これでもかとあやすから。
だから愛したわけではないのに、
さらに求める愚かさを
また優しく包み込まれて。
──この女から生まれたかったな、
なんて本末転倒なことを思う。
「……志緒、志緒」
気付いたら、
彼女を責めたてることに
狂酔していた。
体ごと、最奥まで
押し上げては引き、
また突き上げて。
脳みそが
ひっくり返りそうなこんなのは、
志緒以外の女とは経験がない。
こんなに簡単に我を失う
俺ではないはずなのに。
……歯止めが利かねえ。
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