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「おい、今なんて聞こえた?」
俺は頭を下げたままの少年に聞いた。ゆっくりと顔をあげながら首をかしげて、
「2人乗りは駄目……って、」
「2人乗り!?」
「はっ、はい。今、2人乗りって!」
少年の肩をつかんで揺さぶる。
「おっ、お前っ、2人乗りしてたか?連れはどこだよ!俺は見てないぞ?」
「い、いたっ、痛いですよ。ぼ、僕は2人乗りなんかしていませんよ!雨の日に車道で2人乗りで走るなんて危ないですよ!」
「って、お前信号無視して事故しかけただろっ!!」
少年の頭に軽い突っ込みを入れ、もう信号の向こうに消えた少女を思い出す。
彼女は不思議なことを言った。“2人乗りは駄目”と。
ああ……、よく分からない。なぜ、彼女はそんなことを言ったのか?
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