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マスク男の声に促されエレベーターに乗り込み、目的の病室を目指す。ゆっくりと上昇を始めた機内でマスク男が咳き込む。咳き込みながら、
「大丈夫ですか？なんか、ゴッゴフォ、こ、ゴフォ、顔色が良くないですよ？髪も濡、ゴフォゴフォ、濡れて風邪引きま、ゴフォゴフォゴフォゴフォ、オェー、ゴフォ。引きますよ？最近の……」
おいおい、自分が大丈夫か？アンタの咳きは本格的な症状だろう。マスク男はそのまま咳き込みながら喋り続けるが、良く聞き取れない。乗り込む前に、扉の前で廊下の奥を見詰めて固まっていた俺を心配しているらしいが、まずは自分の体を大切にしてくれ。俺は慣れているんだから…。
「ああ、スミマセン。ちょっと他に気を取られていて…。上に家族が入院しているので、病室についたら、タオル借ります。あっ、1F着きましたよ？」
「どうもどうも、じゃ、ゴフォゴフォ、じゃあ、お互いにお大事、ゴフォ、お大事にオェー、ゴフォゴフォゴフォ。」
「どうぞ、お大事に。」
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