本編

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 私とまったく相反する行動に不意を突かれたような衝撃を受け、泣きホクロさんへ思わず振り向いてしまう。本人には気づかれていない。  それと同時に、先生相手にすら臆せず挑発的言動をとる自称次期エース候補の反応が気になった。気になったというより、泣きホクロさんの身の安全が心配になった。  これまでに遭遇した似たような経験に、自称次期エース候補の個人的な性格評価を乗算する。その先に見えたビジョンでは、激昂した自称次期エース候補が泣きホクロさんに悪態を吹きかける様だ。  蓋を開けてみれば、泣きホクロさんに注意を促された自称次期エース候補は、その日一番の大暴投をして、彼女を振り向かず清掃を始めた。  私は横顔をちらと見ることができたが、その顔はブイヤベースで煮込んだように真っ赤だった。
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