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「あのー、」
「それでですね」
その空気を壊すのを申し訳なさそうに、双子が声を発した。
「そのBSが隣町出身だって、知ってました?」
ステレオで響く声に、途端にナミはうっとりした顔を元に戻しじろりと双子に視線を送る。
「当たり前でしょ」
「あ、知ってますよね。あはは、」
「そ、それでですね、」
双子はナミに少し顔をひきつらせてから、少し声を落として口を開いた。
「実はチケット貰えるんです」
「1階スタンディングじゃなくて2階席なんすけど、」
「ウチの親父がチケット貰ってくれるみたいで、」
「あ、ウチの親父、実はBSと知り合い……?いや、昔からの友人?とか何とかで、」
「んで、折角地元だし一度はライブ行ってみるか?って」
「あ、ほら、一般でBSのチケット取るの難しいじゃないっすか」
交互に説明された話に、奏と龍司は目を見開いて固まり、秀は片眉を持ち上げてくつり、肩を揺らす。
そしてナミは、
「あんたたちのお父さんって一体!?」
体を前のめりにする。
「あ、ウチの親父、サッカー選手だったんすけど、佐藤陸って知ってますか?」
「し、し、知ってるも何も、すごい有名じゃない!!」
「へへっ」
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