第3話 アイドルの秘密 6

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杉田が住む、阪急線の中津駅までは、地下鉄谷町線に乗り、一度梅田で乗り換える。 谷町四丁目の駅は、地下に降り、中央線のホームの向こうにあった。 早足でも五分程かかる道を、杉田はゆっくりと向かった。 人はまばらで、地上とは違う、ぬるい風を感じる。 時折振り返ったが、追いつく姿はなかった。 丁度、ホームに着いた電車に乗り、杉田は開いている席に座る。 ……ちゃんと、聞いておけばよかったんやろうか。 先ほどの松波とのやりとりを思い返す。 『梅林寺さんは、中学生だったけどね。それに、比べものにならないほど』 続きは、整った横顔に浮かぶ表情から、想像出来た。
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