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「御意にございます。 もしもこの先、私が殿を裏切るような真似をした時は──どうぞ、その刀で私を刺して下さいませ」
「……」
姫の大胆な発言に初めは呆気に取られていた信長だが、暫しの間の後、口の両端をゆるやかにつり上げた。
「儂に、己の命を託してまで忠誠を誓うとは、なかなかに見上げた心意気じゃ。
なれどそなた、それが何を意味しているのか、しかと分かっておるのであろうのう?」
濃姫は答えず、宙に視線を遊ばせている。
「儂の側に付くということは、即ち、あの蝮の親父殿を…斎藤家を捨てるということなのだぞ?」
「……」
「そなたにそんな真似が出来るのか?」
目尻に皺を寄せながら、余裕を交えた口調で信長が訊くと
「あなた様が私を信頼して下さるのであれば──ええ、喜んでそう致しましょう」
濃姫は迷いもなく言い放った。
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