第1章

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駅の改札を抜け、ホームに出た。 「電車の中、離れんなよ」 そう言うあーちゃんに無言で頷いた。 電車が到着し、あーちゃんの後ろに続いて乗り込んだ。 ぎゅうぎゅう詰めじゃないものの、通勤通学の人で結構混んでいる。 後ろからの人の流れにあーちゃんから離れそうになる。 そんなとき、ぐいっと腕を掴まれた。 「離れるなって言っただろ」 腕を掴んだ主は、あーちゃん。そして、自分の隣に私を引き寄せる。 「うわぁ、自分の進みたい方に行けなかった」 普段、この時間帯の電車に乗ることのない私はちょっと焦った。 「………チビなんだから………人混みに紛れたら、見えなくなるっつうの(笑)……ほら、掴まっとけ」 つり革から外れた位置にいた私は、そのままあーちゃんの腕に掴まった。
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