第6章

33/43
前へ
/1062ページ
次へ
軽々と私を抱き上げ、自分の膝に座らせるなっちゃん。 「ハルの犠牲になってるか?…って話。俺は、犠牲になってるなんて思ってない」 「……でも……私は可哀想で………ごはん作ってるなっちゃんは、犠牲になってる……って」 「誰かに言われた??」 コクっと頷く。 「……そっか…………可哀想…っていうのは、人それぞれの受け取り方だなぁ………ハルは、そう言われてイヤだった?」 また、コクっと頷く。 「そっか………もしかしたら同情されてる…って思ったからかなぁ!?……ハルはさ、お母さんが天国にいっちゃって どう思った?」 「悲しくって、淋しい……お母さんに会いたい」 涙がポロリとこぼれ落ちる。 「うん。でも、自分のことを可哀想……っては思わないんだよな!?………その人は、色んな意味を込めて可哀想って言葉で済ませたんじゃないかな!? ……ハルだってさ、子犬が捨てられてたら“可哀想”って思うだろ??………その可哀想って中には、子犬が独りぼっちで淋しいよね!?とか、誰か飼ってくれたらいいのに……とか、子犬を心配する気持ちだって込められてるんじゃない!?」 なっちゃんの言葉に首を縦に振る。
/1062ページ

最初のコメントを投稿しよう!

413人が本棚に入れています
本棚に追加