第7章

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ハルを抱きながら、心配そうな2人に説明する。 「………5年前……………意識のない母さんを一番先に見つけたの…………ハルだったんだ…………まだ、5年生だった…………」 …………5年前………… 梅雨入りが発表される頃、日常が一変した。 朝は晴れていいお天気だったその日、午後からは 朝の天気が嘘だったかのように……空には真っ黒な雲が広がり始めた。 ハルは、学校が終わり 友達と一緒に帰り道を歩いていた。 ちょうど友達との別れる信号の曲がり角まできた時に、空からはポツリポツリと雨が落ちてきた。 「あっ、雨…………じゃあ、バイバイ アヤ」 「また明日ね、ハル……走って帰らなきゃ……バイバイ」 ポツリポツリと落ちていた雨だが、直ぐに雨足が強くなってきた。 ランドセルをカタカタ言わせながら、ハルは走った。 空からの雨は、ハルを濡らしていく。 「ただいま………お母さん!?」 いつもなら「おかえり」と返事が返ってくるのに………その日は静かに、外からの雨の音がきこえていた。 次第に、ゴロゴロと雷の音が鳴り始める。 「お母さん??」
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