第2章

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「はい」 そう言い、右隣を見た。 どこかで見たことがあるふくよかなおばさん。 「アヤちゃんのお母さん」 ハルと一番の仲良しのアヤちゃんの顔が頭に浮かぶ。うちにもよく遊びに来るアヤちゃん。 母の葬式のときも、アヤちゃんとアヤちゃんのお母さんが来てくれていたはず。 そうそう、先月……ハルが初めて“女の子の日”になったときも、アヤちゃんのお母さんにお世話になったんだった。 さすがにハルも男の俺ら家族には言えなかったんだろう。 ハルの様子がおかしいと思ったが、ハルは口を閉ざしたままで……アヤちゃんのお母さんからの電話で納得がいった。 「あの時は、お世話になりました」 アヤちゃんのお母さんに頭を下げた。 さすがに、“あの時”と言葉を濁すしか出来なかったが……
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