第2章

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そんなハルに、俺はただ黙って頷いた。 だって、何か言葉を口に出したら……涙がこぼれ落ちそうだったから…… だから、ハルの頭をそっと撫でた。 「……ウッ……ウッ……」 隣のアヤちゃんのお母さんは、堪えきれない声を漏らしていた。 ハルが自分の席に向かい、俺は椅子に腰を下ろした……と同時に、熱いものがポロリとこぼれ落ちた。 ……やられた………ハルに…… 自分の卒業式でも泣かなかったのに。 まさか、ハルの卒業式で泣くなんて。 隣から、俺の手にハンカチが渡された。 アヤちゃんのお母さん……俺より泣いてるんだから、ハンカチ使うんじゃないの?? ちらっと見たら、アヤちゃんのお母さんはタオルで涙を拭いていた。 だから、俺はありがたくアヤちゃんのお母さんのハンカチを受け取った。
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