第3章

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退場し、教室に戻った私の隣に誰かが立つ。 「ハル」 そちらを見ると、そこにはなっちゃんとお父さん。 眉毛が下がった情けない顔をしたお父さんは 「ハル……ごめん……昨日、手術した患者さんの具合が思わしくなくて……」 「大丈夫だよ、入学式は終わったし。早く行ってあげて……入学式、来てくれてありがとう」 ほんとならば、入学式にだって来れなかっただろう。 それでも、私のために無理をして参列してくれた父にお礼を言う。 それなのに、すぐに動きださない父に告げる。 「患者さん、お父さんのこと待ってるよ。そんなお父さんを尊敬してるんだからね、私」 ようやく、父が動き出す。 「ナツ、後頼むな………ハル、入学おめでとう」
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