切なさの陰で

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 終わりは予感もなく、突然にやってきた。 「ごめん、充紀先輩。あたし、もう一緒にいられない」  それはよくある別れの一幕だった。  少女が男の方が自分をそんなに好きな訳じゃないと気付く。  きつく問い詰められた男は上手い嘘ができない。  少女は別れを選ぶ。  俺が付き合った紅花という女の子も、同じ選択をした。  それだけだ。 「……そっか、分かった」  一言だけ答え、引き留める事もしなかった。  今度ばかりは違うような気がしていたのに。  心の中に浮かんでいたのは落胆だけだった。  どいつもこいつも同じなんだなって。  ただそう考えて、目を逸らした。 「あたし、先輩といて幸せだった。今まで、ありがとう」 「こちらこそ」
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