40人が本棚に入れています
本棚に追加
/125ページ
終わりは予感もなく、突然にやってきた。
「ごめん、充紀先輩。あたし、もう一緒にいられない」
それはよくある別れの一幕だった。
少女が男の方が自分をそんなに好きな訳じゃないと気付く。
きつく問い詰められた男は上手い嘘ができない。
少女は別れを選ぶ。
俺が付き合った紅花という女の子も、同じ選択をした。
それだけだ。
「……そっか、分かった」
一言だけ答え、引き留める事もしなかった。
今度ばかりは違うような気がしていたのに。
心の中に浮かんでいたのは落胆だけだった。
どいつもこいつも同じなんだなって。
ただそう考えて、目を逸らした。
「あたし、先輩といて幸せだった。今まで、ありがとう」
「こちらこそ」
最初のコメントを投稿しよう!