茜色と琥珀色

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ぎゅうううううん そんな音を立てて、茜色が遠ざかった。 「よしっ」 しきにぃは、小さくガッツポーズをしてから、双子の頭を叩く。 「今の内に逃げるぞ」 「え?僕もうはしれない」 「ぼくもぉ」 双子が座り込んだまま、また泣き事を言う。 「走らなかったらもう、義姉ちゃんにも兄貴にも会えないぞ。」 「「え?」」 双子は、思いっきり顔を歪めて、泣きそうな顔になる。 「かあさんに会えないのやだ!!」 「ととに会えないのもやだぁ」 「じゃあ、利貴(としき)も冬貴(ふゆき)も立ち上がって走れ!!」 泣きそうな顔のまま、双子は何とか立ち上がりしきにぃについて走り出した。 『あかね あかね あかね』 「ああ?もう来たのか!?くそっ急ぐぞ。二人共」 「「うん!!」」 走る 走る 走る それはおそらく、10歳児と6歳児がけして出せるスピードではなかった。 火事場のバカ力というものだろうか。 だが、それも長くは続かない。 「あっ!!!」 「「冬貴!!」」 双子の片方が転んでしまった。 『あかねのこ きめた きめたこのこが あかねのかかみ』 「やめろ!!」 冬貴が茜色に飲まれかける。しきにぃがそれを止めようとして、腕を伸ばした。
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