Chapter 1 邂逅

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「ねえ、ねえってば!  そろそろ起きてよお兄ちゃん。  もうホームルーム、  とっくに終わっちゃったよ?」 「う~ん?」 俺は、小さくうめき、それから薄く目を開く。 すると俺の顔を、一人の女の子がのぞきこんでいるのが見えた。 綺麗に染まった茶髪のショートカットに、困ったような、それでいて愛らしい笑顔。 淡いプリーツスカートにセーラー服を着た女の子。 俺の妹、速水真理だ。 俺は、妹の真理を見上げて、 「……どした?」 そう聞くと、真理はかわいらしい細い眉根を少しだけ細める。 「もぉ~、どしたじゃないでしょ~。  お兄ちゃんってば、  さっきから呼んでるのに  全然起きてくれないんだもん。  クラスの人に聞いたら  五時間目から寝たままだって言うし」 「……へ?五時間目から?って、いま何時?」 「三時五十分」 「うお?ホームルーム終わってんじゃん」 「だからそう言ってんじゃん」 と、真理がますます呆れたような顔で言う。 それに俺は、 「嘘だろ?」 驚いて、身体を起こす。 それから周囲を見回す。 ちなみに俺が寝たのは、五時間目の家庭科の授業のはずだ。
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