Chapter 1 邂逅

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弁当を作り忘れたので昼休みに購買で、菓子パンを買ったら購買のおばちゃんが、 「あんた私の旦那の若い頃に  そっくりじゃない!  何かの縁だし持ってきな」 と、無理やりあんぱんを五個持たされて捨てるのも悪いなと思って牛乳でそれを押し込んだら気持ち悪くなってきて、おまけに家庭科では先生が、 「はいはいじゃあ今日はまつり縫いを覚えましょうね~」 ってまつり縫いなんて俺の人生には一生出てこねーだろとか思ってたら眠くなって机に突っ伏したのまでは覚えているのだが。 でもだからって、まさか六時間目の地理の授業飛ばしてホームルームが終わってるなんてことが。 「………………」 まさかもう、いまが放課後なんてことが。 「………………」 が、しかし、俺が顔を上げるとすでにクラスの半分くらいの生徒しかいなかった。 おまけに数人の生徒が箒を片手に掃除をはじめていて、さらにその中の数人の女子が、机を後ろに下げずにだらだら眠り続けていた俺を、ひどく迷惑そうな顔で見ている。 「あ~、え~、そのぉ、俺、  机下げたほうがいいよね?」 すると女子たちが、当然でしょうがという顔でうなずく。
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